出光創業家がとった強攻策
出光興産と昭和シェル石油の合併に反対している出光創業家は3日、昭和シェル株式を0・1%強取得したと表明した。出光経営陣が9月にも予定する英・オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)からの昭和シェル株買い取りを阻止する狙いだ。創業家が経営陣との協議を事実上打ち切って「強攻策」に出たもので、合併の成否は一段と不透明になってきた。
創業家代理人の浜田卓二郎弁護士が東京都内で記者会見して明らかにした。
出光経営陣は9月にもRDSから昭和シェル株の33・3%を1株あたり1350円で買い取り、年内にも開く臨時株主総会で合併の承認を得る計画でいる。金融商品取引法では、取得株数が3分の1以下なら市場での公開買い付け(TOB)をせずに直接買えるが、3分の1を超えるとTOBを経なければならなくなる。
浜田氏によると、創業家側は3日までに出光昭介・名誉会長が市場で昭和シェル株を40万株(発行済み株式の0・1%)買った。買い取り価格は4億円弱とみられる。大株主の創業家は外形的に会社と「一体」と見なされるため、出光側の保有割合が3分の1を超えることになり、「TOBの義務が生じる」という。
出光経営陣は当初、TOBでの昭和シェル買収を検討したが、のみ込まれることを警戒した昭和シェル側が反発。RDSから株を買ったうえで合併に進む手法に切り替えた経緯がある。
浜田氏は「両社は企業風土があわず、合併でも買収でもうまくいかない」と主張。経営陣がRDSからの株の買い取りを撤回するまでは、話し合いにも応じない姿勢を明らかにした。