写真1 発表会の会場となった米サンフランシスコのビル・グラハム市民講堂=写真はいずれも西田宗千佳撮影
9月7日(現地時間)、米アップルは9月16日から発売予定の新製品に関する発表会を、米・サンフランシスコで行いました(写真1)。中核となる製品は、もちろん新型スマートフォンの「iPhone 7」です。スマホ市場が成熟する中、今回のアップルの提案は驚くほど日本人に「刺さる」ものだったと感じます。
会場の模様を写真で
登場から9年、進化し続けるiPhoneでどんな提案をしようと考えたのか。分析してみましょう。(ライター・西田宗千佳)
■「マリオもスマホに来る時代」になった
発表会で、アップルのティム・クックCEOは、「iPhoneの累計出荷台数が10億台に達した」と発表しました(写真2)。一つの製品シリーズで10億台というのは、これまでに出荷されたどんな製品より多い、空前の数です。スマホがどれだけ人々の生活を変えたか、という証左でもあります。
発表会の冒頭の「サプライズ」が、iPhoneが成し遂げた偉業の象徴に見えました。任天堂・代表取締役クリエイティブフェローで、マリオの生みの親として誰もが知る、宮本茂氏が壇上に現れたのです(写真3)。目的は、スマホ用向けでは初のゲームアプリ「Super Mario Run」を紹介するためでした。 Super Mario Runは基本的なプレーは無料のゲームで、まずiOS向けに、次にアンドロイド向けに登場します。
任天堂は言うまでもなく、家庭用ゲーム機で大きくなりました。今年度内に新型機「NX」の発売を控えています。任天堂はこれまで、ニンテンドーDS、3DSシリーズやWiiなど、ハードウェアのヒットとWiiフィットなどのソフトのヒットが相乗効果となって好成績を上げてきました。その任天堂でも無視できないくらい、スマホがプラットフォームとして欠くべからざるものになってきたということでしょう。
そんなスマホ上でこの夏に大ヒットした「ポケモンGO」は、スマホから、スマートウォッチである「Apple Watch」へと広がっていきます。発表会にはポケモンGO開発元であるナイアンティックのジョン・ハンケCEOも登壇し、ポケモンGOのApple Watchへの対応を発表しました(写真4)。
完全に定着したスマホと違い、スマートウォッチはそこまでのヒットに結びついていません。アップルは、Apple Watchの登場により時計全体の売り上げで2位の会社になった、と発表しました。多くの人の実感は「まだ半信半疑」というところでしょうが、ポケモンGOは、よい「キラーアプリ」になりそうです。
Apple Watch自体も、今秋の新モデル「Series 2」では、GPS内蔵や水泳対応などの強化によって「エクササイズ」(運動)という用途に軸足を定めたように見えます。ポケモンGOも「歩く」ことの多いゲームですから、そこは合致します。
■その名は「7」、カメラや動作時間が大幅改善
話題をiPhoneに戻します。新モデルは予想通り「iPhone 7」という名前になりました(写真5)。正面から見ると、iPhone 6系とあまり変わらないように見えます。「代わり映えしない」と思う人もいるでしょう。
ただアップルとしては、今回は…
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