9月5日、自らが市長を務めていたフィリピン南部のダバオ市での記者会見で質問に答えるドゥテルテ大統領=ロイター
麻薬関連の容疑者殺害を認めるドゥテルテ大統領が就任したフィリピンで、警官に殺された死者数が就任後の2カ月で1100人を超えた。無関係な人が殺される事件も起きており、裁判手続きを経ない「超法規的殺人」に国際社会の懸念が高まっている。
■大統領公言「麻薬犯罪者は殺せ」、少女巻き添えのケースも
警察当局によると、7月1日から9月上旬までに警察が殺害した麻薬関連の死者は1105人に上る。「犯罪、麻薬、政治腐敗に6カ月以内で成果を出す」と掲げて6月30日に就任した新大統領が進める麻薬取り締まり作戦の結果だ。
作戦では、行政の最小単位である地区の協力で麻薬関与が疑われる住民のリストを作り、警官が家を訪ねて質問する。明文化された規則はないが、訪問時に命に関わるような抵抗にあった場合、警官も攻撃できるとされている。ドゥテルテ氏は「麻薬犯罪者は殺せ」と公言しており、これが殺害が頻発する背景にある。
リストは地域住民に公開されており、7月以降、全国で身の危険を感じた容疑者ら71万2848人が自首した。当局はこの結果、7月に強制的な捜査をした麻薬関連の犯罪件数が、昨年同月と比べて49%も減ったと説明している。
一方、警察によると、麻薬関係…