福井県勝山市で昨年3月、教え子の大学院生の女性(当時25)を殺害したとして、殺人罪に問われた福井大学教職大学院の元特命准教授、前園泰徳被告(44)=同市長山町2丁目、契約終了で失職=の裁判員裁判の判決が29日、福井地裁であった。入子光臣(いりこみつおみ)裁判長は嘱託殺人罪を適用し、懲役3年6カ月(求刑懲役13年)の判決を言い渡した。
判決によると、前園被告は昨年3月12日朝、勝山市内の路上に駐車した軽乗用車内で、赤とんぼの生態研究を指導していた東邦大大学院生の菅原みわさんの首を腕で絞め、窒息死させた。
公判で前園被告は殺害行為を認めたうえで、交際関係にあった菅原さんから殺害を頼まれたと述べた。弁護側は殺人罪より量刑が軽い嘱託殺人罪(6カ月以上7年以下の懲役または禁錮)の適用を求め、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決は、菅原さんが精神的に不安定な状態に陥っていたと指摘し、「自殺の意思を有していた可能性は否定できない」と認定。そのうえで「嘱託がなかったと認定するには合理的な疑いが残る」と結論づけた。(影山遼)