米ニュージャージー州ホーボーケンで29日、列車の事故現場を調べる人々=AP
米ニュージャージー州ホーボーケンで29日朝に起きた列車事故は、1人が死亡、50代の日本人男性1人を含む100人以上が負傷した。米国では近年、鉄道の脱線事故が相次ぐ。列車速度の自動制御システムの未整備が原因ではないかと指摘されている。
米で通勤列車が駅舎に突っ込む 1人死亡100人超けが
29日朝の事故では、ニューヨーク市とニュージャージー州をつなぐ通勤列車「ニュージャージー・トランジット」のホーボーケン行きの列車が制限速度を超えたまま駅に近づき、車両止めを越えて脱線した。米国家運輸安全委員会(NTSB)は現場に調査チームを派遣。運転士からの聞き取りを含めて詳細を調べる。ニュージャージー州のクリスティー知事は会見で「原因はまだ不明だ」と述べ、調査結果を待つ姿勢を強調した。
米国では、ニューヨーク郊外で2013年12月にも通勤列車が脱線し、4人が死亡する事故が起きた。また15年5月には全米鉄道旅客公社(アムトラック)の列車がペンシルベニア州フィラデルフィア近郊で脱線し、8人が死亡した。NTSBによると、どちらの事故も制限速度を超えてカーブに入ったことが原因で、自動制御システムが導入されていれば防げた可能性が高い。
米運輸省は以前からシステム導入を鉄道会社に求めてきたが、鉄道会社の反応は鈍い。米議会は15年末までの整備を義務づけていたものの、鉄道会社からの要請を受けて期限を18年まで延長した。今回事故を起こしたニュージャージー・トランジットも、同年までの整備を目標にしている。(ニューヨーク=中井大助)