ロイター通信は4日、米ヤフーが米情報機関の要請を受け、利用者の全ての受信メールを監視していたと報じた。ロイターは専門家の話として「米国のネット企業が、少数のアカウントではなく、全ての受信メールの検索に同意したことが表面化した最初の事例」としている。
報道によると、ヤフーは昨年、米国家安全保障局(NSA)もしくは米連邦捜査局(FBI)の要請を受け、ヤフーの数億件のメールアカウントを監視していた。情報機関はヤフーに対し、ある文字の組み合わせを検索するよう求めたが、どんな内容かはわからないという。
マリッサ・メイヤー最高経営責任者が情報機関の依頼に応じる判断をしたことに不満を持ったセキュリティー担当幹部が辞職したという。ヤフーの広報担当者は取材に「ヤフーは法に従う企業で、米国の法律を順守している」とコメントした。
ヤフー日本法人によると、日本と米国では異なるメールサービスを提供しているため、日本の利用者への影響はないという。広報担当者は「政府の指示に基づいてメールの内容を確認したり、政府に対してメールを開示したりということは行っていない」という。
米国では今年、カリフォルニア州で起きたテロ事件の容疑者のiPhoneの「ロック解除」をめぐり、FBIと製造元の米アップルが対立。犯罪捜査と利用者のプライバシー保護の優先度をめぐり、大きな議論となった。(ワシントン=五十嵐大介)