仲見世を「練り歩く」文楽人形=14日午後、東京・浅草、遠藤啓生撮影
「飲みながら食べながら文楽」をキャッチフレーズに移動式の組み立て舞台で各地を巡演するプロジェクト「にっぽん文楽」(日本財団主催)の一行が14日、東京・浅草寺でお練りを行った。15日から始まる浅草寺での公演に先立ち、人形遣いの吉田和生さん(69)や吉田玉男さん(63)らが華やかな人形2体を遣ってお練りに臨み、成功祈願をした。珍しい文楽のお練りに沿道には大勢の人たちが詰めかけた。
正午ごろ、地元の人も加わった約40人のお練りの一行は雷門を出発。三味線の豊澤富助さん(61)と太夫の豊竹睦太夫さん(42)も加わった。「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」の赤の振り袖に花かんざしの八重垣姫と、浅黄色の裃(かみしも)と長ばかまの勝頼の人形を中心に、木やりがもり立てて本堂までの約400メートルを練り歩いた。本堂前では公演の「壺坂(つぼさか)観音霊験記 山の段」の女房お里と座頭沢市の夫婦の人形も登場した。
吉田和生さんは「文楽でお練りをするとは思わなかったので非常に感動しています」、総合プロデューサーの中村雅之横浜能楽堂館長(57)は「日本の興行の聖地である浅草での開催は喜ばしいことです。文楽は庶民の芸能。屋外で飲んだり食べたりしながら気楽に見て頂きたい」とあいさつした。「にっぽん文楽」は日本財団が立ち上げ、2015年の東京・六本木ヒルズの公演からスタート。通常の劇場の文楽公演とは違い、観劇中も飲食自由のスタイルをとっている。
公演は15~18日、午後0時半と午後6時から。浅草寺本堂裏の屋外会場で「五条橋」と「壺坂(つぼさか)観音霊験記 山の段」を上演。2千円。にっぽん文楽プロジェクト(03・6233・8948、平日午前10時~午後5時)。(山根由起子)