自民党は21日、選挙区が県境をまたぐ参院選の「合区」を解消し、参院に何らかの形で都道府県の代表という性格を位置づける憲法改正をめざす方針を決めた。国会の憲法審査会に党改憲草案を出さない代わりに、新たな具体的改憲項目として改正のたたき台にすることを狙う。
参院の合区解消「憲法改正が必要」 自民・高村副総裁
改憲項目では緊急事態条項の創設が党内では有力視されていたが、野党側の批判が強い。参院選の「一票の格差」を是正するため、7月の参院選で初めて鳥取と島根、徳島と高知で導入した合区は、県単位で国会議員を選んできた枠組みを壊すもので、地元選出議員や首長から解消論が出ている。このため、「合区解消なら野党や世論から批判が出る雰囲気はない」(党幹部)として、もともとの改憲草案にない「合区解消」を旗印にすることで路線転換を図った形だ。
自民党はこの日、憲法改正推進、選挙制度改革問題統括、党・政治制度改革実行の三つの本部の役員らが会合を開き、「合区解消」を改憲の具体的項目にすることを検討するプロジェクトチーム(PT)設置を決めた。座長に愛知治郎・参院政策審議会長を置く見通しで、合区解消を求める決議を行った全国知事会から意見聴取を行う予定だ。保岡興治・憲法改正推進本部長は記者団に、「改憲を視野に入れながら合区解消を検討していく」と語った。
PTの検討対象は、衆参両院の…