河野太郎外相と中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相は9日、相手国で働く駐在員の社会保険料の二重払いを解消するための「日中社会保障協定」に署名した。協定の締結により、駐在5年以内の駐在員は日本に社会保険料を支払い、5年超の駐在員は原則として中国に支払うことが決まり、二重払いは解消される。
中国で働く日系企業の駐在員約7万人が対象となる。外務省によると、日系企業の駐在員はこれまで中国赴任後も日本に社会保険料を支払う一方、中国側にも同国の社会保険法に基づき社会保険料を二重払いしてきた。民間シンクタンクの試算では、日本側企業に四百数十億円の負担軽減効果があるという。
同協定の交渉は2011年10月に始まったが、12年9月に尖閣諸島を国有化した後は約3年にわたり中断。15年に交渉を再開していた。外務省によると、多くの国との間で同様の問題を抱えており、中国で21例目の協定締結となる。日本の場合、国会での承認が必要となる。(関根慎一)