岐阜市議の国井忠男氏(68)=自民岐阜=と大野一生氏(59)=同=が、自分が所有したり家族と共有したりしている建物に事務所を置き、政務活動費から家賃を払っていたことがわかった。いずれも自分と関連する会社と契約を結んでいるが、市議会の運用指針は、議員が所有する物件への賃借料に政活費を充てることは認めていない。
政活費の収支報告書によると、家賃の支出は昨年度までの3年間で、国井氏は70万円、大野氏は87万5千円。
国井氏は自らが会長を務める建設会社「国井組」に、妻と共同所有する建物を有償で貸し、その一室を事務所として使う契約を同社と結んでいる。政活費から月2万円の光熱費込み賃料を払っていた。朝日新聞の取材に、「議会事務局から『会社との契約ならいい』と言われていた。だめだとの認識はなかった」と述べた。同社から報酬は得ていないと話している。
大野氏は、自らが社長を務める寝具販売会社「岐阜ベッド卸センター」の社屋の一部を事務所として使用。社屋は大野氏の所有で同社に無償で貸していた。光熱費を含む賃料月5万円の半額を政活費で支払っていた。朝日新聞の取材に「還流などの悪意はなかった」と話し、同社から報酬は得ていないと説明した。
運用指針は、議員が所有する物件や自宅を事務所とする場合、その賃借料に政活費を充てることはできないと定めている。ただ、小沢重貴・議会総務課長は「自分が所有する物件で法人と契約するケースは想定外。直ちに違反とは言えない」と話す。契約書と領収書で確認しており、現時点でこれ以上のチェックは考えていないという。(吉川真布、増田勇介)