慰霊式で奉納される水俣病の犠牲者名簿。亡くなった認定患者の名前が記されている=2015年5月1日、熊本県水俣市
熊本県水俣市で毎年開かれる水俣病の犠牲者慰霊式の際、慰霊の碑に奉納する犠牲者名簿の対象を未認定患者に広げる方向で患者・被害者団体などが検討している。差別や偏見が生んだ分断などを背景に慎重な判断を求める意見もあり、29日開催の今年の慰霊式では見送ったが、今後に向けて11月にも議論するという。
慰霊式は水俣市、患者・被害者団体や自治会、婦人会、チッソ水俣本部など21団体の代表で構成する実行委員会が1992年から開催。国や熊本・鹿児島両県による認定患者を対象に、96年から犠牲者名簿の奉納を始めた。患者2282人のうち1893人が27日までに死去。遺族が希望した388人の名簿が水俣湾の水銀埋め立て地にある慰霊碑に奉納されている。水俣病公式確認60年を迎えた今年の慰霊式では8人分が新たに加わる予定だ。
水俣病をめぐっては、未認定患者ながら95年の政治決着、2009年の水俣病被害者救済法などで7万人以上が被害者として救済を受けた。それでも名簿の対象範囲は変わらなかった。
慰霊式の運営に携わった元熊本…