政府・与党は2日、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案について、4日に予定していた衆院通過を断念した。山本有二農林水産相がTPPをめぐる自らの「強行採決」発言をめぐり、「冗談を言ったらクビになりそうになった」などと述べたことに野党が反発し、辞任を求めたためだ。政府・与党は辞任を拒否し、週明けの衆院通過を探る方針だ。
菅義偉官房長官は2日の記者会見で、山本氏の進退について「軽率な発言をしたことを深く反省しており、辞任するような話ではない」とかばったが、与党内では辞任論がくすぶっている。自民党幹部は「(失言を)2度やるとダメだ。持たない」と指摘。公明党の石田祝稔政調会長は記者会見で「本人がどう考えるか、その一点に尽きる」と突き放した。
山本氏は、先月18日の佐藤勉・衆院議院運営委員長のパーティーで「強行採決するかどうかは佐藤勉さんが決める」と述べ、国会で謝罪に追い込まれた。その後、今月1日の自民党議員のパーティーで自らの発言について「冗談」と言及。さらに、参加していた農業団体関係者を取り上げて「農林省(農水省)に来て頂ければ何かいいことがあるかもしれません」と語った。
野党は「反省がない」「利益誘導まがい」などと一斉に反発。自民党は2日の特別委採決を見送った。与党は8日の米大統領選までの衆院本会議採決を念頭に、4日中の委員会採決を目指す構え。ただ、野党は反発を強めており、情勢は見通せない面もある。