道路いっぱいに広がった陥没で土台がえぐれたビル=8日午前7時55分、福岡市博多区、小宮路勝撮影
九州電力によると、博多駅周辺を中心に福岡市博多区の最大約800戸が停電した。駅周辺では配電線を地中に埋設しており、現場に入れないため全面復旧のめどはたっていないという。
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停電は通勤時間帯を直撃した。博多駅の新幹線改札ではJRの担当者が乗客への対応に追われ、改札周辺では「エレベーター、エスカレーター、トイレが利用できなくなっております」とのアナウンスが繰り返し流れた。広島に向かう途中だった佐賀県の女性(79)は足が不自由で、家族に支えられながら杖をつき、エスカレーターを歩いてホームに上がった。「状況が分からないのでびっくりした」と話した。
構内の売店はシャッターを下ろしたままで、コンビニエンスストアでは「営業を中止させていただきます」と書いた紙を貼り、店員らがサンドイッチや乳製品など要冷蔵の商品を廃棄する作業に追われた。
博多駅前の博多バスターミナルも停電した。正午過ぎに自家発電で一部の電灯がついたが、8日はテナントを臨時休業すると決定。バス乗り場にはバスを待つ長い列ができ、ライブをみるため前日に福岡を訪れた宮崎県日南市の女性(22)は「真っ暗で何もできない」。暗い中で30分ほど待ち、バスに乗り込んだ。
博多駅前のホテルでは、宿泊者全員に朝食を提供しているが、スープなど温かいものを出せず、メニューを減らして対応。朝食会場は非常用のランタンが数個置かれているだけで、携帯電話のライトでテーブルを照らして朝食をとる人もいた。エリアマネジャーの男性(48)は「復旧のめどが立たないと聞いている」と不安そうに話した。
停電は陥没現場から約2・5キロ離れた福岡空港の国際線ターミナルビルにも及んだ。広報担当者によると、ビル内の一部の照明や空調、ガスが止まるなどし、非常用電源に切り替えた。午前11時過ぎに仮復旧し、通路やレストランの電灯が次々ついた。運航に影響はないという。