がらんとした豊洲市場の水産仲卸売場棟=7日午後1時59分、東京都江東区豊洲、嶋田達也撮影
東京都江東区の豊洲市場が、当初の開業予定だった7日を迎えた。小池百合子知事は移転のための行程表を4日に示したが、移転時期は示されず、「土壌汚染の対策工事をすれば、最長2年以上かかる」(都幹部)とも。豊洲に資金をつぎ込んだ市場業者からは補償を求める声が相次ぐ。
築地市場の豊洲移転問題
移転延期で営業が続く築地市場(中央区)は7日、いつも通りの朝だった。
「汚染のイメージは消費者の感情の問題。理詰めの行程をクリアしても消せない。なぜ行かない選択肢がないのか」。築地の水産仲卸社長(68)は、都が示した①専門家が安全性を検証②環境影響評価(アセスメント)の変更かやり直し③対策工事④農林水産相への認可手続き――との移転に向けての行程表に反発した。
10月下旬の豊洲市場は対照的な光景だったという。明日にも開業できそうな店と、がらんとした店。「同じ目標で進む市場とは思えない。混迷そのものだ」
自分の店はシンクなど最低限の備品の設置や配線工事程度にとどめた。それでも計数百万円分の請求書が次々来る。都はつなぎ融資を行うが「そもそも回収のめどがたたない出費。急ぐべきは補償」と嘆息する。
10月末には、移転を元々あきらめていた店など10業者が廃業し、築地の水産仲卸は563に減った。最近は、水産物も扱う大田市場(大田区)に移ろうか、と検討する声も耳にする。
他の水産仲卸で働く男性(48)も行程表に違和感を覚えたという。「都への信頼が失われた今、都の判断をどう信じろというのか。まずは市場で働く僕ら現場の声を聞いてほしい」
苦しいのは仲卸業者だけではな…