広島県東広島市の山陽自動車道「八本松トンネル」で今年3月、10人が死傷した事故で、道路交通法違反(過労運転の下命)と労働基準法違反の罪に問われた「ツカサ運輸」(埼玉県川口市)役員で統括運行管理者だった後藤隆司被告(42)の判決が14日、広島地裁であった。丹羽芳徳裁判長は、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。
判決は、動機について「労働時間を基準通り守っていては仕事にならない」「これまでも大丈夫だから事故は起きないだろう」という身勝手で悪質なものと指摘。危険な結果を生じさせるおそれも高く、刑事責任を軽くみることはできないとした。一方で「反省している」とも述べ、執行猶予を言い渡した。法人としてのツカサ運輸は、求刑通り罰金50万円とした。
判決によると、後藤被告は、男性運転手(33)=自動車運転死傷処罰法違反罪などで有罪確定=が過労のため正常な運転ができないおそれがあると知りながら、事故前日の3月16日に運転を指示した。(久保田侑暉)