今年初めてプレテストを採り入れた大阪の大谷中学校。入試当日と同じ教室と時間帯、教職員配置で実施した=11月20日、大阪市阿倍野区
毎年1月にある私立中学入試に向け、本番さながらの内容を出題する「プレテスト」を夏から冬にかけて実施する学校が増えている。受験生にとっては「腕試し」の機会で、学校側にも受験生を囲い込めるメリットがある。関西特有の制度だが、プレテストを受けると本番で加点する学校もあり、「やり過ぎだ」との声もある。
■本番までの学習法アドバイスも
20日午前9時、張り詰めた空気が教室を包んだ。「始めてください」の校内放送で、小学6年生約450人が、一斉に国語の問題に取りかかった。
大谷中学校(大阪市阿倍野区)は今年、初めてプレテストを導入した。入試当日と同じ教室を用意し、実施時間帯もそろえた。教職員約100人が総出で、道案内や試験監督など本番さながらに配置についた。控室の講堂には500人以上の保護者の姿。長女(12)に付き添った大阪府河南町の主婦(40)は「トイレの場所が分かっただけでも安心。当日はリラックスして普段の力を発揮してほしい」と話した。
雪矢(ゆきや)敏明校長は、「保護者からの導入要望は前からあったが、入試と同じ水準の良問を作るのは大変な労力で、プレテストは実施してこなかった」と話す。入試説明会や公開授業で学校をPRしてきた。
ところが、「共学校志向」の高まりで、大阪府内の女子校は軒並み苦戦。今春、大谷も240人の募集に対して、入学者は182人という「開校以来の厳しい募集状況」(雪矢校長)となった。そこで、新たな手としてプレテストに白羽の矢を立てた。
プレテストは小6が対象で、ほとんどの学校が無料だ。各校は、7月上旬から12月下旬までの間に開く。複数回設ける学校もある。最近では、プレテストの結果を返却する際に、児童と保護者を呼んで、入試本番までの学習法などをアドバイスする懇談会を開く学校も多い。
上宮太子中学校(大阪府太子町…
有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。
初月無料につき月初のお申し込みがお得
980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら