黄檗(おうばく)宗「安城寺」(松山市)の施設建て替え計画に伴う融資を焦げ付かせ、債権者に損害を与えたとして、大阪地検特捜部は5日、住職の片井徳久容疑者(56)=同市朝美2丁目=を背任の疑いで逮捕し、発表した。特捜部は11月17日に寺などを同容疑で家宅捜索し、押収資料を分析するとともに、片井容疑者らから任意で事情を聴いていた。特捜部は認否を明らかにしていない。
捜査関係者や発表によると、片井容疑者は2012年1月ごろ、寺の施設の建て替えに際し、大阪市の不動産会社から寺に1億5千万円を融資する契約を締結。期限内に返済しなかった場合、片井容疑者や寺が所有する複数の土地や建物の所有権を同社に移転登記する内容になっていた。
その後、返済は滞り、不動産会社が14年5月23日、法務局に不動産の所有権移転の登記を申請すると、片井容疑者は同29日ごろ、法務局にうその書類を提出。申請を却下させて移転登記を妨害したほか、同年7~8月、不動産を息子が住職を務める別の寺に寄付して損害を与えた疑いがある。
関係者によると、片井容疑者は1989年11月、安城寺の住職に就任。愛媛県や全国の仏教団体幹部を歴任してきたという。