北部訓練場の返還される区域とその内訳
沖縄県東(ひがし)村と国頭(くにがみ)村にまたがる米軍北部訓練場(約7500ヘクタール)のうち過半の約4千ヘクタールが22日、日本側に返還された。外務・防衛当局や在日米軍などでつくる日米合同委員会が21日、正式返還で最終合意した。1972年の沖縄の本土復帰以降では最大規模の返還で、沖縄県にある米軍専用施設の2割弱に当たる。
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安倍晋三首相とケネディ駐日米大使は21日、首相官邸で返還を共同発表した。首相は「北部訓練場4千ヘクタールの返還は、20年越しの課題だった。今後も抑止力を維持しながら沖縄の負担軽減を着実に実行し、結果を出していきたい」と述べた。ケネディ氏は「今回の返還は沖縄(の米軍基地)統合計画の重要な一歩となる」と語った。
北部訓練場の一部返還は、96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた。だが、返還の条件とされた東村高江へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に、地元で抗議活動が続いたことなどから先送りされてきた。このヘリパッドが今月完成したことを受け、今回の返還となった。ヘリパッドは米軍輸送機オスプレイが使う予定。
北部訓練場は海兵隊や陸海空軍の各部隊が対ゲリラ訓練基地として使用する。返還される4千ヘクタールは沖縄県にある米軍基地・施設の17・7%に相当。今回の返還で、全国の米軍専用施設のうち沖縄県に集中する割合は74・5%から70・6%となる。実際に土地が地権者に引き渡されるのは日本政府による不発弾や土壌汚染の調査や処理後で、1年以上先になる見通しだ。
22日には、沖縄県名護市で政府主催の返還式典が開かれるが、翁長雄志(おながたけし)知事は県民の反発を踏まえ欠席する方針だ。(石松恒)
■翁長知事「ゆがんだ返還」
22日には、沖縄県名護市で政府主催の返還式典が開かれるが、翁長雄志(おながたけし)知事は県民の反発を踏まえ欠席する方針だ。
翁長知事は北部訓練場の過半返還について「推進すべき」との立場だったが、条件として返還予定地から移設されたヘリパッド6カ所を、当初予定されていなかった米軍輸送機オスプレイが使う点を問題視。「ゆがんだ返還であり、多くの県民の思いが踏みにじられ、政府への強い不信感をもたらす」として返還式典の中止を求めていた。