式典会場を訪れたエベレット・ハイランドさん=27日、ハワイ・真珠湾、宮崎園子撮影
真珠湾・キロ埠頭(ふとう)で27日午後、日米首脳が参加した式典の演壇の横には、真珠湾攻撃を経験した3人の元米兵の席が用意された。そこに座ったハワイ在住のエベレット・ハイランドさん(93)は、歩み寄ってきた安倍首相と抱擁を交わした。式典後、「謝罪なんて求めていない。安倍首相が生まれてもいなかった時のことだ」と語った。
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ハイランドさんは1941年12月の真珠湾攻撃時、停泊していた戦艦ペンシルベニアの無線担当の乗組員だった。アンテナの修理中に攻撃を受けて被弾し、意識を失った。右ひざなどの骨がむき出しになるけがを負い、9カ月間入院。18歳だった。
生死の間をさまよう経験をしながら、再び部隊に復帰した。原動力は日本軍への敵対心ではなく、「ただ、生き抜こう」という思いだったという。「日本への恨みはないのか」と聞かれるたび、こう答えてきた。「アメリカも日本も、若者が仕事として戦った。それだけだ」
真珠湾攻撃を経験した元米兵の中には、日本人のことを「ジャップ」と蔑称で呼び、憎悪をあらわにする人もいたという。だがハイランドさんは「何十年も苦い思いを背負ったままなんて、時間の無駄だ」と思う。
20年以上、真珠湾攻撃の犠牲者の追悼施設「アリゾナ記念館」で、ボランティアガイドをしている。「問題解決のために戦火を交えるなんて不合理でしかない。顔を合わせて話し合うべきだ」。若い世代にそう伝えたいという。
「真珠湾と第2次大戦の退役軍…