中国商務省は4日、東芝の医療機器子会社だった東芝メディカルシステムズを買収したキヤノンの手続きに違法な点があったとし、30万元(約500万円)の罰金を科す行政処分を発表した。買収自体は認めており、手続きは昨年12月にすでに完了した。
キヤノンは東芝メディカルを約6655億円で買収する契約を昨年3月に東芝と結んだ際、買収の完了前に東芝に代金を支払った。東芝はこれを受けて一時的な受け皿会社に株式を譲渡し、その後、中国当局に届け出た。東芝の債務超過の回避が目的だったが、中国当局は届け出前に買収に着手したのは独占禁止法違反にあたると判断した。決定は昨年12月16日付。
キヤノン広報部は「非常に当惑している。異議申し立てをするかどうか検討している」とコメントした。この買収を巡っては、日本の公正取引委員会も昨年6月、手続きが独禁法違反につながるおそれがあるとしてキヤノンを注意し、東芝にも口頭で指導していた。(川田俊男)