阪神電気鉄道が大阪市につくる高級カプセルホテルのイメージ=同社提供
阪神電気鉄道が簡易型のホテル事業に参入し、今秋に大阪市福島区に1号店を開く。訪日客の増加もあって都市部のホテルは高い稼働率が続き、宿泊費は高止まりしている。宿泊費が限られるビジネスマンや若い世代の利用を見込む。
高級感のあるカプセルホテルを全国で展開するファーストキャビン(東京)との提携を10日、発表した。
1号店は「ファーストキャビン阪神西梅田(仮称)」で、147室。2階建てで、1階と2階で男女を分ける。カプセルホテルは部屋の広さが2平方メートル弱のものが多いが、このホテルは狭い部屋でも2・5平方メートルある。部屋の高さも2・1メートルあり、「立てる」のが特徴だ。値段は1泊5千~6千円台の見込みという。
東京や大阪などの都心部ではホテル不足が続く。新設も相次ぐが、需要に追いついていない。手ごろな価格で泊まれるカプセルホテルの人気も高まっている。
阪神電鉄はグループ内でホテル事業も展開しているが、「価格帯が違う」(広報)ため、競合は避けられると判断。今後も、沿線内外で展開するという。
ファーストキャビンは全国に8店舗を運営し、客室稼働率は約90%という。既存のビルの中にホテルをつくる場合は、最速3カ月で開設できるといい、積極的に店舗を広げている。阪神電鉄との提携とは別に、4月までにさらに全国で4店舗つくる計画だという。
鉄道会社との提携にも積極的で、今月中にもJR西日本と合弁会社をつくる予定だ。東京では、京阪ホールディングスの子会社が持つビルへの出店も決めた。
担当者は「鉄道会社は所有不動産が多く、立地も駅近くなど良いものが多い。不動産を活用したい鉄道会社とも思いが合致している」と話す。(岩沢志気)