独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が米国で排ガス規制を不正に逃れていた事件で、米司法省などは11日、法人としてのVWが有罪を認め、計43億ドル(約5千億円)を米政府に支払う合意をしたと発表した。あわせて、VW幹部6人を、米大気浄化法に違反したなどの罪で起訴したという。自動車メーカーに対する司法省の罰金としては、過去最大額になる。
司法省によると、VWは06年から15年ごろにかけて、自社のディーゼル車が米国の排ガス規制に適合していなかったにもかかわらず、適合しているように偽って販売し、さらに不正を隠すためのソフトウェアを車に搭載していた。また、問題が発覚した後にも、関連する書類を破棄したとして、司法妨害の罪でも有罪を認めたという。
起訴されたのは、エンジン開発部門の元責任者ら、主要幹部。リンチ司法長官は会見で「意図的に詐欺行為が続いていた」と述べ、上層部まで不正を認識していたと指摘した。起訴された幹部のうちの1人は既に米国内で逮捕され、残り5人はドイツにいるとみられる。捜査は続いており、刑事責任を問われる幹部がさらに増える可能性もある。
VWが支払う金額のうち、28億ドルは刑事事件の罰金で、15億ドルは米環境保護局(EPA)などが起こしている訴訟の和解のため。また、有罪の条件として3年間の観察処分を受けることや、独立した法令順守担当の設置などに合意したという。VWは既に、この問題でEPAなどに対して150億ドル以上を支払う合意をしている。
司法省との合意を受けて、VWのミュラー最高経営責任者は「ディーゼル危機につながった行為を深く後悔している。今後も我々の考え方と行動を変革させる」と声明を発表した。(ニューヨーク=中井大助)