大万木山で2006年に見られた雪庇が「今までで最大」という=信藤一郎さん提供
冬山の尾根や崖に自然につくられる雪庇(せっぴ)に魅せられ、ツアー客を案内している人がいる。島根県飯南町の信藤(のぶとう)一郎さん(68)。雪庇の魅力は町観光協会にも伝わり、県内外から参加者が集まる人気ツアーになっている。
雪庇は吹きだまった雪が庇(ひさし)のように突きだしたもの。信藤さんは2005年3月、広島との県境にある大万木(おおよろぎ)山(1218メートル)で初めて目にした。当時は地元の郵便局長。同行するはずの知人が都合で来られず、一人で2メートル近い積雪を4時間ほど歩いてブナ林を抜けると、雪庇が姿を現した。
「目の前がぱっと開けて、尾根伝いのずっと先まで真っ白な2階建ての家がいくつも立っているようだった」。この雪庇は地元でもあまり知られていなかった。想像を超える自然の力を目の当たりにして、「これが故郷の自然だと誰かに自慢したくなった」。
以来、毎冬2~4回は同じ大万…