長崎市内の市道に止めた車の中で、長崎県諫早市多良見町の野中千晶(ちあき)さん(28)が刺されて死亡した殺人事件で、刃物で刺されたり切られたりした野中さんの傷が10カ所以上に及んでいたことが、捜査関係者への取材でわかった。県警は30日、野中さんの死因を失血死と発表。強い殺意で襲われたとみて調べている。
野中さんは28日午前11時40分ごろ、長崎市三景台町(さんけいだいまち)の市道に止まっていた軽乗用車の運転席で血を流して倒れているのが見つかり、搬送先で死亡が確認された。足元にナイフが落ちていたことなどから、県警は事件とみて捜査。元夫(30)が近くの自宅で首をつっており、県警は、元夫が野中さんを殺害後に自殺した可能性があるとみている。
捜査関係者によると、野中さんは昨年11月、地元の諫早署に「元夫が家に来るかもしれない」などと相談。署はストーカー事案として受理し、月に数回、野中さんと面会したり、電話連絡したりするなどして、対応していた。また、野中さんの電話番号を県警が登録し、緊急時の110番通報があった場合は、通信指令課から署に連絡する体制をとっていたという。