震災復興事業での発注情報漏洩の構図
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東日本大震災で被災した園芸ハウスの復旧工事の入札談合事件に絡み、宮城県亘理(わたり)町から工事の発注業務を請け負った「宮城県農業公社」(現みやぎ農業振興公社)が、入札前に積算価格を業者側に漏らしていたことがわかった。こうした外部委託は震災直後に多用されたが、発注者の情報漏洩(ろうえい)を処罰する官製談合防止法では立件が困難で、法の抜け穴となっている。
関係者によると、亘理町は津波で被災したイチゴ用の園芸ハウスを復旧するため、2012年8月に総額約74億円で計5件の建設工事の入札を実施。少なくともこの一部の入札で、町から設計や積算などの業務を請け負った同公社の担当者が、入札予定価格の算出根拠となる積算価格を業者側に伝えたという。
これらの工事費は、全額が復興交付金などの国費でまかなわれた。公正取引委員会は、亘理町を含め、12~15年に宮城、福島両県内の市や町などが発注した計19件、総額100億円超の園芸ハウスの復旧工事入札で談合があったと認定。入札に参加した農業設備大手各社に、独占禁止法違反で計約6億円の課徴金納付命令を出す方針を通知している。各社を調べる過程で、同公社から情報が漏れていたことが発覚したとみられる。