豪栄道(右)は寄り切りで御嶽海を破る=迫和義撮影
(20日、大相撲秋場所11日目)
相撲特集:どすこいタイムズ
1差で自分を追う千代大龍が敗れ、豪栄道に吹く追い風はまた強くなった。
「優勝は気にせずにやるだけ」。そういって無心を心がける大関。朝げいこのときに、ふと本音をもらした。「1回優勝すれば、またしたいと思いますね」。祝福するファンをかき分けるようにして部屋に凱旋(がいせん)した初優勝から、ちょうど1年になる。
気負い、すきの類いは、これっぽっちもなかった。もう4場所、三役に居続ける御嶽海に対して厳しい当たり。「体を寄せるのがうまい。中途半端に投げたり、はたいたりすると、抱え込まれてしまう」。一応警戒してはいたものの、実際は何もさせない。さっと左上手を浅く引き、絞り上げた。右の上手も取って、これ以上ない体勢にもっていった。
御嶽海もそうだが、北勝富士に阿武咲、正代と最近場所をにぎわすニューウェーブを退けて、当たり前の番付の格を示してきた。「気合で負けないように。受けて立つのでなく、こっちから攻めていく」。仕上げに向けて、こうした気力を保ち続けられるか。
役付き力士との対戦は御嶽海で終わった。日馬富士との取組が予想される千秋楽まで、いつもの終盤と違って相手は平幕ばかり。無意識のうちにも楽をして出足が緩めば、足をすくわれる。「体は動いている。自分の体を信じてやるだけです」。あとひと押し。そのひと押しが本当に苦しいと諸先輩はいっている。(隈部康弘)
●魁聖 初日から2連勝と2連敗が交互に続くことが気になる様子。「今日から2連敗の波。負ける気がした。明日も負けの日だ」とネガティブ発言。
●千代大龍 3敗目。普段は冗舌な支度部屋を無言で足早に去ると、追いかける報道陣を振り返り、「今日は一言。相手が強かった。おしまい!」。
○日馬富士 連敗はせず。「下がる場所も逃げる場所もない。後ろを見たら終わり。前を見るしかない」
●阿武咲 3連敗。「明日っす。今日は特にない。明日、思い切っていくだけ」
○朝乃山 新入幕で、デビューから10場所連続の勝ち越し。「どこかで壁にぶつかると思う。それまで挑戦者の気持ちで取り続けたい」
●御嶽海 豪栄道に完敗。「当たりは悪くなかった」。残り4日間に向け「自分のやることをやるだけです」。
○貴ノ岩 4場所ぶりの勝ち越し。「(貴乃花部屋の弟弟子の)貴景勝の活躍が励みになっている。一緒に部屋を盛り上げたい」