金塊盗難事件と換金の流れ
福岡市博多区で昨年7月、6億円相当の金塊(約160キロ)が警察官を装った男らに盗まれた事件で、このうち約4億円分が事件後に換金されていたことが捜査関係者への取材で分かった。福岡県警は、東京都内で貴金属店を経営する60代男性が盗品と知りながら換金に関わった疑いがあるとみて、都内や千葉県にある男性の関係先を盗品等処分あっせん容疑で近く家宅捜索する。
警官姿の男ら数人、6億円分の金塊盗む 福岡で7月
捜査関係者によると、事件があったのは、JR博多駅近くの貴金属店が入るビルの入り口付近。
昨年7月上旬の午前、金塊を売るために店に持ち込もうとしていた被害男性らの前に、警察官の服装をした数人の男が現れた。「密輸品なのは分かっているんだぞ」などと言いながら、金塊の入ったケース5個を調べ、男性らが目を離したすきに車に積んで逃げた。
金塊は被害男性らが転売目的で事件前日に山口県内で購入したものだった。実際に密輸品だったかは分かっていない。県警は、犯行グループが金塊の売買を事前に把握し、周到に準備をしていた可能性があるとみている。
グループが着ていた警察官の制服に似せた服は、後に山口県内で見つかり、県警が押収した。
その後の調べで、グループが事件から1週間以内に金塊の半分強を2回にわたって買い取り業者に売り、4億円以上を得ていたことが判明。換金の際には、所得税法で売り主を税務署に届ける必要がある個人名ではなく、貴金属店経営者が営む法人名義を使い、届け出を免れていたという。
県警は、個人情報を隠して換金するためにグループが法人間の取引を装い、経営者側も事情を知りながら名義貸しをした疑いがあるとみて、グループの実態解明を進めている。