金塊の所有権をめぐり、造幣局と質店が争っている。造幣局が所有する金塊などを元職員が盗み、質入れ。造幣局は盗品を返してもらう権利を定めた民法に基づき、質店に返還を求めて提訴した。質店側は返還義務はないと反論し、訴訟が続いている。
4月のさいたま地裁判決などによると、造幣局元職員の男(55)=懲戒免職=は2014~16年、担当職員に「仕事で必要なため」とうその説明をするなどし、造幣東京博物館(当時東京都豊島区)で展示していた約15キロの金塊(約6384万円相当)や金貨など計約1億5860万円相当を盗んだ。窃盗罪で懲役5年の判決が確定した。
民事訴訟の記録などによると、男は金塊などを埼玉と東京の質店計2店舗に質入れ。造幣局は、盗難から2年以内なら盗品の返還を求められる「回復請求権」に基づき、返還を求めて1~3月に提訴した。
一方、質店側は「男が金塊の所有者と過失無く信じ、質契約した」などとして店側に所有権があると反論。男による金塊の持ち出しが「通常行われている手続きに従い行われていた」などとして「金塊は盗品に当たらない」「窃盗罪に該当せず、業務上横領罪か詐欺罪にあたる」と主張し、造幣局に回復請求権はないと訴えている。
埼玉の質店に関する訴訟では5…