金正男氏(左)は殺害される4日前の昨年2月9日、マレーシア北部のリゾート地・ランカウイ島のホテルで米国人の男性(右上)と接触していた(関係者提供)
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が昨年2月、マレーシアで殺害された事件で、殺人罪に問われている実行役の女2人の公判が29日、首都クアラルンプール郊外の高等裁判所で開かれた。証人尋問で捜査関係者は、正男氏が殺害の4日前に同国北部ランカウイ島でコリア系米国人の男性と接触していたことを公の場で初めて認めた。
証人尋問で捜査関係者は、被告側弁護士から「ランカウイ島のホテルで正男氏はバンコクを拠点にする米国人と会ったのか」と問われ、「その通りだ」と事実関係を認めた。一方で、2人が接触したホテル名や米国人の身元などは「思い出せない」などと回答を避けた。
また、被告側弁護士は公判後、正男氏のパソコンを解析した捜査当局の報告書を記者団に提示した。正男氏と米国人が接触したのと同じ日に、正男氏のパソコンにUSBメモリーが差し込まれた形跡があったことが示されていた。
正男氏と米国人の接触については、朝日新聞が昨年5月に報じた。捜査幹部は当時、取材に対し、米国人が米情報機関とつながりがあるとみられることや、正男氏が何らかの情報を米国人に渡した可能性があると明かしていた。(シンガポール=守真弓)