芥川賞を受賞した時の又吉直樹さん=2015年7月、西畑志朗撮影
2018年度から高校2、3年生が使う国語の教科書には、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さん(36)の短編エッセーが初掲載される。タイトルは「祖母が笑うということ」で、沖縄に住む祖母との交流をつづったものだ。夏目漱石の「こころ」や、中島敦の「山月記」など名作と並んで読まれることになる。
掲載されるのは大修館書店の現代文Bの教科書。「介護の日」に合わせたJA共済の新聞広告(2015年11月11日付)の中のエッセーで、朝日新聞などに掲載された。
沖縄の方言を早口で話す祖母は、なにを言っているのかわからないが、なぜか気持ちが理解でき、時に会話も成立するというエピソードを紹介。祖母とのやりとりをユーモアを交えながら優しい筆致でつづった。又吉さんは新聞広告の中で「原稿執筆にあたって、家族が笑顔で過ごすために必要なことを考える時間が持てました」とメッセージを添えている。
大修館の編集者は「国語嫌いにならないよう、生徒に身近な作家を、と載せた。読むということは勉強のためだけではなく、自分の心を豊かにするためでもある。この作品を通して伝えたかった」と話す。
又吉さんは、15年7月に小説「火花」で芥川賞を受賞。今月7日には受賞後第1作となる新作小説「劇場」を掲載した文芸誌「新潮」(新潮社)4月号が発売。初版としては異例の4万部が発行されたが、売り切れる書店が続出。翌8日に1万部の増刷が発表された。(毛利光輝)