ロンドンで起きたテロ事件で、関係先とみられる英中部バーミンガムのアパート敷地を捜索する捜査員。近隣住民によるとアラブ系の家族が住んでいた。マスード容疑者が昨年末まで家族で暮らしたアパートから約300メートルと近い=渡辺志帆撮影
ロンドン中心部の英国会議事堂とその周辺で50人以上が死傷したテロ事件で、射殺されたカリド・マスード容疑者(52)が事件直前まで滞在した英中部バーミンガムを24日、訪れた。近所の人には礼儀正しくふるまい、家族思いの一面を見せる一方、かつて住んでいた別の町ではナイフを使った傷害事件を起こすなど暴力的な一面も持っていた。
バーミンガム中心部から約2キロの幹線道路沿いに建つ3階建ての単身者向け賃貸アパートの一室に、マスード容疑者は最近まで滞在していたようだ。
近くの中東系食料品店で働くラビヤ・セディキさん(36)は2日前に警察から同容疑者の写真を見せられ、昨年暮れから約1カ月半前まで何度か店で買い物した男だったことに気づいた。「英語になまりはなく、ジムに通っていると言い、いつも栄養ドリンクを買った。がっちりした体格で、物静かな印象だった」。大家のイラン人男性(58)によると、当局の捜索で部屋からパソコンや書類が押収されたという。
2キロあまり離れた閑静な住宅街にある住宅では、24日午後もテロ事件に関連した家宅捜索が続いていた。近所の住民によるとアラブ系の一家が1年ほど住んでいた。
ここから約300メートル、歩いて数分のところにマスード容疑者が昨年12月まで家族と一緒に7カ月ほど暮らした3階建ての賃貸住宅が立つ。近所に住む会社員イボナ・ロメックさん(45)によると10歳に満たない小さい子どもが2人いて、マスード容疑者が車で学校へ送ったり、庭の芝刈りや車庫で洗車をしたりする様子をたびたび見かけた。
長身で体を鍛えており、いつもイスラム教徒の伝統衣装と帽子を身につけていた。妻とみられる同居女性も顔以外の全身を覆うイスラム女性の衣装を着ていた。「礼儀正しく、控えめだが会えばあいさつした。ごく普通の人に見えたが、今思えば怪しまれないよう良い父親を演じていたのかもしれない」と話した。
英メディアによると、同容疑者…