破産手続きに入った格安旅行会社「てるみくらぶ」が、遅くとも3年前から粉飾決算を続けていた可能性のあることが30日、分かった。本業のもうけを示す営業損益を黒字に見せかけるため、経費を少なく計上し、社内で複数の決算書も作っていたという。
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てるみくらぶが27日に東京地裁に提出した破産手続開始申立書によると、同社は航空会社や宿泊施設への支払いにかかった費用や人件費などを決算書に実際より少なく記載。遅くとも2014年9月期から営業赤字が続いていたのに、こうした行為で黒字に見せかけていたという。
例えば、16年9月期は決算書上、約1億2千万円の営業黒字としていたが、実際は15億円以上の営業赤字だった可能性がある。約4億6千万円のプラスとしていた純資産も、実際には約75億円の債務超過に陥っていたという。
また、決算をよく見せるために複数の決算書を作成していたことも判明。社外への説明向けのものと、税務署に提出するためのものがあったという。
てるみくらぶは27日に東京地裁に破産を申請。申立書によると、直前の23日まで1日あたり1千~2千件の新規予約があった。旅行代金を一括で支払うことで割引が受けられるキャンペーンなどで、23日時点までで積み上がった旅行代金の前受け金は約100億円。だが、前受け金は、航空会社や宿泊施設への支払いに回ることなく過去の債務の支払いに充てられたとみられ、手元の現預金は約2億円にまで減っていた。てるみくらぶの代理人弁護士は「申立書に記載の通りで、今後は破産管財人の調査を待ちたい」としている。
一方、グループの持ち株会社「てるみくらぶホールディングス(HD)」とグループの格安旅行会社「自由自在」が30日、東京地裁に破産を申請し、手続き開始の決定を受けた。代理人弁護士によると、負債総額は2社合計で63億円。自由自在の債権者のほとんどに当たる600人強が旅行の申込者だという。