中学校の卒業式後、教室で記念写真に納まる山口(右端)、寺田さん(右から2人目)、目黒さん(左端、目黒さん提供)
カーリングの日本男子では20年ぶりの五輪出場を決めたSC軽井沢クラブ。セカンドの山口剛史(32)は北海道南富良野町の小さな集落で育った。当時、小中学校は1学年4人。そこには女子のチーム青森で2006年トリノ、10年バンクーバー両五輪に出場した目黒萌絵(32)、トリノ五輪に出場した寺田桜子(32)がおり、同級生から3人目の五輪選手誕生となった。
男子カーリング、五輪出場権獲得 長野以来、自力は初
南富良野町の中心から約10キロ、人口約180人の落合集落。3人が通っていた落合小中学校は14年に閉校となったが、腕を磨いた空知川スポーツリンクスカーリング場では今も子どもたちが練習に励む。
「こんな幸福が訪れるなんてね」と、ジュニア選手を指導する五嶋富恭さん(63)は目を細める。五嶋さんが知人から古いストーンをもらったことをきっかけに、小学1年の山口たちはカーリングに出合った。最初は空き地に氷を張り、2年後に木工場跡をカーリング場として使った。五嶋さんとともに指導した目黒さんの父、義重さん(65)は「子どもと一緒に手探りでのスタートでした」。
1学年は女子3人、男子は山口だけ。女子は目黒さんの3姉妹と寺田さんでチームを組めたが、男子は山口の同世代が1人しか集まらず、五嶋さん、義重さんが加わった。義重さんは「小学生2人と中年2人のチームは不思議がられて、どの大会でもすごく応援されました」と笑う。
幼い頃は体が弱く、女子に相撲…