「あだち工場男子」で紹介されている「金属加工男子」=しまや出版提供
金属プレス機に向かう真剣なまなざしに、段ボールの間から見せる笑顔――。町工場で働く男性たちの表情を切り取った本「あだち工場男子」が出版された。同人誌の印刷をする東京都足立区の「しまや出版」が制作。区内の町工場の豊富さや魅力、働き手へのエールがつまっている。
本には、足立区内に本社や工場のある26社から29人の男性たちが登場。20、30代の若者を中心に、金属プレスに和菓子製造、ししゅう加工に畳製造など、様々な工場での仕事風景をとらえた。「目下の目標は一人暮らし」「料理が得意」など紹介コメントも添えた。
制作した「しまや出版」の代表取締役の小早川真樹さん(45)は10年前から、妻の両親が営んでいた同社の経営に携わるようになった。1枚の紙が何人もの手を経て本となる様子に、物作りのおもしろさを実感。同社も社員20人の町工場で「同じように頑張っている若者たちの熱意や、工場の魅力を伝えたいと思った」と振り返る。
足立区の工場数は23区内で大田区に次いで2番目に多く、小早川さん自身も「撮影を機会に初めて中に入った工場もあり、工場の豊富さや技術の高さを知ることができた」。生活を支える存在を紹介して、地域の活性化もねらう。
同人誌の印刷や製本を手がけてきたが、自社制作は初の試み。千部を印刷しており、都内だけでなく、全国から注文が来ているという。小早川さんは「物作りの現場のおもしろさは誰もが共感できると思う」。他区の町工場や、下町の町工場で働く女性たちを撮影することも検討中だ。
「あだち工場男子」は1500円(税別)。ネット通販アマゾンや、区内の町工場でも購入可能。購入先はHP(
http://kojyo-danshi.work/adachi/
)で確認できる。(円山史)