21日、与党・公正発展党(AKP)の臨時党大会で支持者に手を振るエルドアン大統領=AP
トルコのエルドアン大統領が21日、与党・公正発展党(AKP)の臨時党大会で党首に選出された。先月の国民投票による憲法改正を受けた措置で、エルドアン氏の議会への影響力が強まり、権力基盤がより強固になる。一方で、非常事態宣言下で強権的な対応に拍車がかかるとの懸念もある。
改正前の憲法は、大統領に国家の象徴的な存在として中立性を保つよう、政党を離れるよう規定していた。改憲により、大統領は政党に所属できるようになった。2019年11月に予定される大統領と議会の同日選挙後、議院内閣制は廃止され、行政権は大統領に集中される。
エルドアン氏は首都アンカラで開かれた臨時党大会で、「19年の選挙で勝利するため、すぐに動き出さなくてはならない。AKPには一刻たりとも無駄にできる時間はない」と演説した。
エルドアン氏は、親イスラム政党のAKPを01年に設立した際の主要メンバーで、初代党首に就任。03年から首相を務めたが、14年に大統領に就任し、離党していた。
トルコ国会は一院制(550議席)で、AKPが過半数の317議席を占める単独与党。エルドアン氏はこれまでもAKPの事実上のリーダーだったが、名実ともに党首となったことで、議会運営にも大きな影響力を持って関連法の整備にあたることができる。
権力基盤を強めたエルドアン氏が、19年の選挙までにシリア内戦への対応や経済政策などで、国民の支持をどれだけ集められるかが焦点となる。
しかし、昨年7月のクーデター未遂後に出された非常事態宣言のもとで、政権に批判的なメディアの閉鎖や大量の公務員らの解職なども続いており、「大統領による独裁化を招きかねない」との不安の声もある。(アンカラ=其山史晃)