マリ戦に向けて調整する原口(中央)ら日本代表=長島一浩撮影
今回の欧州遠征2試合が選手選考のラストチャンスになると思っていたら、肩すかしをくった。5月30日に国内で行う壮行試合の翌日に、サッカーW杯ロシア大会(6月14日開幕)のメンバー23人を発表すると、ハリルホジッチ監督が明らかにしたからだ。
今回、これまで固定されてきた数少ない主力のDF吉田(サウサンプトン)やDF酒井宏(マルセイユ)がケガで呼ばれていない。「本大会でもケガはある。最悪の事態を想定し、多くの情報を持っておきたい」と指揮官。メンバー発表を少しでも遅らせることで多くの選手を試し、慎重に見極めたい考えだ。
過去4大会は、W杯の最終メンバー発表前に日本代表の顔ぶれはほぼ固まっていた。唯一の例外が1998年のフランス大会。25人がスイスでの事前合宿に呼ばれ、FW三浦知良(現横浜FC)ら3人がメンバーから外れた。
発表が遅れることで選手間の競争が長引き、チームづくりの時間が短くなるのではという声も聞かれるが、主将の長谷部(Eフランクフルト)は「海外ではよくあること。チームをまとめる時間がないという感覚は、無い」。
むしろ、FW原口(デュッセルドルフ)の言葉を聞いて、メンバー発表を遅らせるメリットを感じた。「この2試合でハットトリックをしたとしても、その先の所属チームで試合に出られなければ、監督は呼ばない。継続することが大事」。緊張感無くして、成長はない。(清水寿之)