相次ぐ北朝鮮のミサイル発射などに迅速に対応するため、安倍晋三首相は首相官邸に隣接する首相公邸に住むべきかどうか――。首相が東京・富ケ谷の自宅から官邸に通うことを民進党の野田佳彦幹事長が「危機管理上、あり得ない」と批判すれば、菅義偉官房長官は「政府の対応はまったく問題ない」と反論し、応酬を繰り広げた。
首相の自宅から官邸までは車で約15分。野田氏は22日の記者会見で、「北朝鮮が日本に向けてミサイルを撃てば10分以内に着弾する」とし、「なぜ私邸から通わなければいけないのか。歩いてゼロ分の公邸に住むのが鉄則だろう」と主張した。
これに対し、菅氏は同日の記者会見で、「緊急事態発生時の連絡手段に万全を期している」と強調。「大切なことは、危機に際してリーダーが適時適切な判断を行い、事態のマネージができるかどうかで、どこに所在するかじゃない」と反論した。
現在の公邸は1929年に官邸として建てられ、小泉政権の2005年から公邸として使われるようになった。1932年の5・15事件や36年の2・26事件の舞台になったこともあり、「幽霊が出る」とのうわさがある。安倍首相も以前、公邸に移らない理由として「幽霊」を挙げたとされる。野田氏は会見で、公邸で暮らした「首相経験者」として、「私はおばけは見たことがないから、いないと思う」とも述べた。