ツバメが飛び回る防犯カメラのそばには「頭上注意」の貼り紙も=取手駅西口
茨城県のJR取手駅周辺でツバメが盛んに飛び交っている。駅ビルの壁や防犯カメラ、地下通路のほか、コーヒーチェーン店などにも巣を作り、子育ての真っ最中だ。利根川の河川敷に近く餌も豊富なことから居心地がいいようで、毎年、取手市も巣を撤去せずに見守っている。
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駅西口の商業ビル「ボックスヒル取手」(6階建て)の壁面や1階のコンビニエンスストアなどで巣を見ることができる。ビルの壁面の巣は毎年、ビルを管理する「アトレ ボックスヒル取手店」が、糞(ふん)の落下防止とヒナの保護を兼ねて設けた台の上に作られる。駅の通路に面した3階の大手コーヒーチェーン店のロゴの一部「S」の上にも巣があり、親鳥が顔をのぞかせる。
駅の東西を結ぶ地下通路の東口に近い天井付近には、約10の巣ができている。管理する市が撤去せず、古い巣も残しているためだ。親鳥が急旋回しながら昆虫などの餌を捕まえ、巣に入ってはヒナたちに与える。通路隣の取手署取手駅前交番の署員は「毎年、巣から落ちたヒナが届けられます」。
一方、「糞害」で巣の撤去を求める声もある。アトレは毎年、ヒナの巣立ちを確認後、巣を撤去している。ただ、今春からコーヒーチェーン店の巣の下には「←つばめの巣にご注意下さい」と注意書きを貼り、囲いを設けた。担当者は「悩ましいが、子育て中は巣を撤去せず温かく見守りたい」。市も2年前から、巣がある防犯カメラそばの支柱に貼り紙で「頭上注意」を呼びかける。環境対策課の職員は「通行人にも配慮しながら、人もツバメもすみやすい街にしたい」と話す。
市民団体「とりで鳥の会」代表幹事の林恵治さん(60)は「河川敷に近いため巣を作る泥や枯れ草、餌も豊富のうえ、駅周辺は人が多いので天敵の蛇などに襲われる心配がない」と指摘。「市が巣を大事にしてくれるので『マイホーム』として再利用しやすく、ツバメの数が他の駅よりも目立つ」と話している。