がん患者調査用アプリの画面。どの部位に副作用症状があるか入力する(国立がん研究センター提供)
国立がん研究センターは26日、働くがん患者の調査をスマートフォンのアプリケーションを使って始めた。働きながら治療を受ける患者が増えるなか、その生活の質の実態を明らかにし、改善につながる指標の構築を目指す。
米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」アプリで、名付けて「がんコル(QOL)」。アップルによると、同社の医学研究用技術を利用したアプリで、がん研究では初という。
26日から無料でダウンロードできる。参加希望者は性別や年齢、がんの種類、治療歴などを入力。動き回るのに問題は無いか、痛みや不安はどの程度か、働いた時間、自身の仕事のパフォーマンスへの評価などを選択していく。同じがんや同世代の人の平均的な活動度合いと比較することや、自身の治療内容をカレンダーに入力して日程管理に役立てることもできる。
アプリを開発した同センター中央病院の近藤俊輔医員は、1年をめどに経過を見て中間解析を出したいとする。近藤さんは「がんの診断や治療が、働き方にどのように影響するかを探る指標をつくり、患者が働きやすい環境の整備につなげたい」と話す。
同センターは26日、一般向けの操作手順の説明や動画を、ウェブサイトで公開した。(服部尚)