終局直後、盤面に見入る柯潔九段(左)。右は「アルファ碁」の打ち手役(中国・烏鎮、グーグル提供)
囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」が25日、世界最強棋士との対決で勝ち越した。今回の柯九段とアルファ碁の対局は中国国内でも大きな注目を集めたが、直前に中国メディアの生中継が一斉に中止され、囲碁ファンの不満が広がっている。中止理由は不明だが、長年続く中国政府とグーグルの微妙な関係が背景にありそうだ。
囲碁AI、最強棋士に勝ち越し 機械対人間の最終決戦
生中継は対局が決まった4月からテレビやネットのポータルサイトが予告。国営放送局の中国中央テレビ(CCTV)も事前に生中継を宣伝していた。ところが対局が迫るにつれて予告サイトが消えたり放送中止が決まったりし、23日の初戦を生中継したのはグーグル傘下のユーチューブのみ。ユーチューブは中国国内で閲覧が禁じられ、「仮想プライベートネットワーク」(VPN)を使わないと視聴できない。対局が始まると、中国版ツイッター「微博」などでは、「全然見られない。どうなってるの?」「意味がわからない」と批判が相次いだ。
グーグルと中国政府は2010年に検索サービスの検閲を巡って衝突し、グーグルが検索事業から撤退。現在も検索機能が利用できない状況は続く。今回の対局を主催する浙江省体育局は、朝日新聞の取材に「生中継の中止理由は、我々にも分からない」とした。(上海=冨名腰隆)