体育館で大けがする事例
体育館でバレーボールなどをプレーし、床に滑り込んだ際にはがれかけた床板が体に刺さって大けがをした事故が、約10年間で7件あったことがわかった。消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は29日、床が水分の吸収と乾燥を繰り返したことで床材がはがれた可能性があるとの調査報告書を公表し、床の水拭きをしないよう呼びかけた。
報告書によると、2006~15年にあった大けがの事故は7件(1件は発生年が不明)で、うち6件はバレーボール中の事故。13年には部活動中のレシーブの練習で、床に滑り込んだ生徒の腹部にはがれていた床の一部が刺さった。胃や腸を貫通し、手術で摘出した木片は全長が34センチに達し、27日間入院したという。フットサルのキーパーをしていた学生が、ボールを奪おうと背面で滑り込んだところ、肩から刺さった木片が肺を貫通した事故もあった。
事故調によると、事故があった体育館は床が湿気や雨漏りでぬれたり、水拭きやワックス掛けがされたりしていた。古いワックスを洗い落とす作業では水を使う。床板は水分の吸収や乾燥を繰り返すことで、損傷や板割れが生じてはがれる可能性がある。このため、「清掃の際には原則として水拭きをするべきではない。水拭きをする場合は、固く絞って」などと注意を促している。
また事故調は文部科学省に対し、事故のリスクや維持管理の重要性を体育館の所有者らに周知するよう求めた。公立学校や公共体育館を対象に16年に実施したアンケートでは、学校と公共の体育館それぞれ5%で日常的に水拭きをしていたという。(末崎毅)