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佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第6局が5日、甲府市の常磐ホテルで始まった。3勝2敗とリードしている佐藤名人が制して初防衛を果たすか、稲葉挑戦者がタイに戻すか。シリーズは佳境を迎えている。
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午前9時、対局が始まった。先手番の稲葉挑戦者の作戦は、激しい戦いになる可能性を秘めた相懸かり。昨年以降は2回しか採用しておらず、後のない一番で思い切った選択だ。
従来の相懸かりは、飛車がいる2筋、8筋の歩の交換を急ぐのが常識だったが、近年はそれを保留して相手の出方を見る手法が増えている。まだ双方の陣形が定まらない中、稲葉挑戦者は3四の歩を狙って▲3六飛と揺さぶりをかけた。
解説を務める副立会人の村山慈明七段は「稲葉挑戦者の相懸かりは意外でした。戦いはすぐには始まらず、互いに駒組み勝ちを狙う展開になると思います」と話した。(村瀬信也)
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〈指し手〉先手・稲葉八段 ▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲3八銀△7二銀▲5八玉△5二玉▲9六歩△9四歩▲1六歩△1四歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△3四歩▲3六飛