初防衛した佐藤天彦名人=6日午後8時39分、甲府市、堀英治撮影
佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第6局は、6日午後8時19分、佐藤名人が112手で勝ち、通算4勝2敗で初防衛を果たした。
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甲府市の常磐ホテルで5日から指されていた。持ち時間各9時間のうち、残りは佐藤名人が29分、稲葉挑戦者が20分だった。
名人戦は将棋界で最も歴史があるタイトル戦。21年ぶりの20代対決となったシリーズは、第3局まで稲葉挑戦者が2勝1敗と先行したが、そこから佐藤名人が3連勝して勝負を決めた。6局中、後手番が5勝する珍しいシリーズとなった。
佐藤名人は福岡市出身。2006年にプロ入りした。15年に名人挑戦権を争うA級順位戦に初参加し、優勝。昨年の名人戦で羽生善治三冠(46)を破り、初タイトルを獲得すると共に将棋界の頂点に立った。
タイトル戦初登場となった関西所属の稲葉挑戦者は、A級順位戦を8勝1敗の好成績で優勝。挑戦権獲得の勢いに乗って一時リードしたが、栄冠には届かなかった。(村瀬信也)
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佐藤名人の話 第6局は主導権を握られる展開になり、簡単に崩れないようにと思って指していた。先行されて苦しいシリーズだった。大変な戦いだったので(防衛できて)うれしい。今シリーズは、いろいろと挑戦して課題も見えた。さらにしっかり勉強したい。
稲葉挑戦者の話 ▲7五歩と仕掛けたところは自信がなかった。もう少し粘れたかもしれないが、苦しかった。4局目以降は優勢な局面もなく、力負けだと思う。名人は読みが深かった。1局をこれだけ長く指す経験がなかったので、今後生かせるよう努力したい。