安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省が内閣府から「総理の意向」などと伝えられたとされる文書について、同省は再調査する方針を固めた。これまでは「文書は確認できなかった」としていた。
加計でも重要資料「廃棄した」 森友と似通う政府側答弁
一連の文書には「平成30年(2018年)4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「(愛媛県)今治市の区域指定時より『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている」などと記載されている。文科省関係者は、昨秋に同省が作ったことを認めている。
文科省は、獣医学部設置に関係する高等教育局長や大臣官房審議官、専門教育課長ら7人に対して調査を実施したが、「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表していた。ただ、電子データについて7人が個人で省内で使うパソコンのデータや共有フォルダーの削除履歴は調べていなかった。
一連の文書が作られた後の昨年11月、政府は「国家戦略特別区域諮問会議」で52年ぶりに獣医学部の新設を認める方針を決定。国の事業者公募に対し、加計学園のみが申請したことから事業者として認められ、文科省の大学設置・学校法人審議会で設置審査が進められている。安倍首相は「加計学園から私に相談があったことや圧力がはたらいたということは一切ない」などと関与を否定している。