食事時ともなれば常連や学生でにぎわう店内=福岡市東区和白3丁目
月1回だけ開店する喫茶店が福岡市東区和白3丁目にある。その名も「喫茶昭和じかん」。生活困窮者支援のNPO法人福岡すまいの会が運営する。メニュー表には「生活相談0円」、誰かのために食事を注文しておく「保留ランチ」の仕組みも。昭和の雰囲気の中、悩みを抱えた人の支えになればと人々が集う。
JR香椎線の和白駅から徒歩約3分の住宅地。昭和の歌謡曲が流れる8坪ほどの店内には3人がけのカウンター、小さな食卓3台に椅子7脚がある。招き猫や木彫りの熊の置物などが並び、どこか懐かしさが漂う。開業は2015年9月。生活困窮者らが暮らすNPOのサポートホームの一角を改装した。
メニューは「バナナミルク30円」「ホットケーキ100円」「スパゲティ250円」「煮物定食400円」と格安だ。昼や夕方は元ホームレスの常連や安さにひかれた学生たちで満席になる。
NPO事務局職員で、店員の服部広隆さん(35)によると、NPOへ相談する人の多くが家賃滞納で部屋を出される寸前だったり、多額の借金を抱えていたり、事態が深刻になって初めて相談にやってくる。「無料」「支援」という表現を恥ずかしがる人も少なくないという。潜在的な困窮者に居場所を提供し、早めの相談を促すイベントとして喫茶店を考えた。
昭和にちなむ店名は、あの頃のおおらかな「寛容さ」、シンプルに考える「素朴さ」が生きやすさにつながると考えたから。元ホームレスらの「無料ではなく、少しでも払いたい」との意見も入れ、価格を抑えた。食材の多くはボランティアが持ち寄る。
ただ安いだけではない。もう一…