ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約の交渉会議で3日、コスタリカのホワイト議長が新たな条約案を公表した。2年に1回開かれる締約国会議などに非締約国の参加を認めることを明記。現在交渉に不参加の日本政府などがオブザーバーとして核禁条約の過程に関与する道を開く内容だ。
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非締約国にオブザーバー参加の道を開くのは第8条5項。2年に1回の締約国会合や6年に1回の再検討会議への参加を事実上認める。主要推進国の関係者は3日、朝日新聞の取材に「最初の条約案で(非締約国が締約国会議などに)『招待されうる』とあるのを、我が国は『招待されるべきだ』に変更するように主張して反映された。(被爆国の)日本政府に参加して欲しい」と話した。
条約案には、禁止項目として、核兵器の使用をちらつかせる「脅し」を禁じる文言も明記された。これまでは、核保有国や日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国など「核の傘」の下の国々などを遠ざける、として主要推進国が盛り込みに否定的だった。脅しの禁止が核抑止力の否定につながるためだ。
だが、「核の傘」に入らず、「非核地帯」を宣言している中南米や東南アジアの国々などからは「脅し」の禁止を盛り込むべきだ、との意見が相次いだため、最終的には、主要推進国側が妥協する形になった。国際機関関係者は、「核保有国は向こう何年間も加盟交渉に臨まないだろうし、(日本など)『核の傘』の下にある国々はより柔軟だ。(日本などの近い将来の加盟に)大きな影響はないだろうとの判断もあるようだ」と話した。
交渉の参加国は今回の条約案を本国に照会した上で、5日の会合でその結果を報告する。修正される可能性は残るが、7日に採択される最終案は基本的に今回の条約案を踏襲する。(ニューヨーク=松尾一郎、金成隆一)