EUとのEPA交渉に関する主要閣僚会議であいさつする安倍晋三首相(左から2人目)=4日午前11時2分、首相官邸、岩下毅撮影
欧州連合(EU)は4日、「6日に日本と首脳会談を開き、経済連携協定(EPA)の政治的合意について発表する見込みだ」と発表した。交渉では焦点のチーズなどでも双方の立場が近づきつつあり、合意が濃厚の情勢だ。会談には、安倍晋三首相と、EU首脳会議のトゥスク常任議長(大統領に相当)、ユンケル欧州委員長(首相に相当)が参加する。
チーズの関税、日本が譲歩案を検討 EUとの貿易交渉
EU側は4日、6月末に来日して岸田文雄外相、山本有二農林水産相との閣僚交渉にあたったマルムストローム(通商担当)、ホーガン(農業担当)両欧州委員が、閣僚に当たる欧州委員のメンバーに交渉状況を報告。合意に理解を求める方針だ。
一方、日本側は4日午前、首相官邸でEUとのEPA交渉に関する主要閣僚会議を開いた。安倍首相は冒頭、「今後詰めなければならない重要な論点が残っている」とする一方、「大枠合意を早期に実現し、世界の保護主義的な動きの中で、自由貿易の旗を掲げることは極めて重要。我が国の成長戦略を進める上でも有意義だ」と強調した。
今後、まず岸田外相が4日深夜に欧州へ出発。5日にEU側と最後の閣僚交渉に臨み、残った論点を整理して首脳会談への道筋をつける予定だ。
山本農水相は4日、焦点となっているEUから輸入するチーズに関して、日本側が低関税の輸入枠を設ける方向で調整していることを明らかにした。この枠の規模が最後の焦点との認識を示し、「あとは政治決断」と話した。
日EU両首脳は、7日に独ハンブルクで始まる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にも出席する。米国のトランプ大統領とサミットで意見がぶつかり合うことも見込まれる中、直前に合意を打ち出して自由貿易を推進する機運を高めることで双方の思惑が一致している。(津阪直樹=ブリュッセル、斎藤徳彦)