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特別養子縁組、6歳以上も対象検討 背景に虐待増加

生みの親が育てられない子どもと育ての親が戸籍上の実の親子となる特別養子縁組について、政府は対象年齢をいまの6歳未満から引き上げる検討を始める。虐待などで親元で暮らせない子どもが、一人でも多く家庭的な環境で育つことができるようにする狙いだ。法務省が月内にも有識者の研究会を立ち上げる。


特別養子縁組の成立件数は増加傾向で、2005年の305件から15年には544件になった。自分で育てるのが難しい親が増えており、虐待の増加も背景にある。全国の児童相談所(児相)が対応した18歳未満の子どもへの虐待は、15年度に10万件を超えた。


親元で暮らせない子どもの大半は、児童養護施設で暮らす。同施設や里親家庭にいる6歳以上は13年2月時点で約3万人。その一方で、児相が14~15年度に特別養子縁組を検討すべきだと判断した288件のうち、年齢要件が理由で成立しなかったケースが16%の46件あった。


こうした事情から、厚生労働省の有識者検討会は6月、対象年齢引き上げを求める報告書を公表。①普通養子縁組で15歳以上は本人の意思が尊重されることを踏まえて「15歳未満」②子どもの社会的養護などについて定めた児童福祉法の対象年齢となる「18歳未満」――を引き上げ後の年齢の案としてあげた。また、原則の6歳未満は維持し、例外の8歳未満を引き上げることも考えられるとした。「一般的に年齢が大きくなるほど(新しい)親子関係の形成が難しくなる」との留保もつけた。


これを受け、対象年齢を定めた民法を所管する法務省が研究会を設置し、議論に乗り出す。法学者や弁護士、児童福祉の専門家らが参加する予定だ。(西村圭史)



〈特別養子縁組〉 望まない妊娠や虐待などで生みの親が育てられない子どもと、血縁関係のない夫婦が家庭裁判所の判断で法的に親子になる制度。1988年に導入された。親となる人の年齢以下であれば縁組できる普通養子縁組と違って相続などの生みの親との法的関係が消え、戸籍上も実子と同じ扱いになる。社会的な分別がつく前の就学前なら親子関係が築きやすいとの考えから、縁組の申立時に原則6歳未満の子どもが対象。それまでに里親制度などで養育が始まっていれば8歳未満まで例外的に認められている。


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