最高裁に向かう升永英俊弁護士(前列左から2人目)ら=19日午後、東京都千代田区、鬼室黎撮影
「一票の格差」が最大3・08倍だった昨年7月の参院選について、「選挙区によって投票価値に違いがあるのは憲法違反」として、二つの弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟は19日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で弁論が開かれ、結審した。
昨夏の参院選「一票の格差」訴訟、最高裁大法廷で審理へ
選挙区の「合区」を初めて導入し、最大格差が前回(2013年)の4・77倍から縮小した点をどう見るかが焦点。昨年10~11月に全国の高裁・支部が出した16件の判決は「合憲」が6件、「違憲状態」が10件だった。最高裁は年内にも統一判断を出す。
この日の弁論では、被告の各地の選挙管理委員会側は「過疎地の少数者の声を反映させる機能を維持しつつ、格差を大幅に縮小させており、合憲だ」と主張。原告側は午前の山口邦明弁護士(東京弁護士会)のグループに続き、午後からは升永英俊弁護士(第一東京弁護士会)らのグループが弁論に立ち、「少数者には地域的なものだけでなく、性的、経済的など様々存在する。過疎地の少数者だけを優遇する理由はない」と反論。自民党内に憲法改正で合区解消を目指す動きがあることについて、「違憲状態を解消するために憲法を変えようとする暴挙で、立憲主義への冒瀆(ぼうとく)だ」と訴えた。
最高裁は10年、13年の参院選をともに「違憲状態」と判断している。弁論終了後に記者会見した伊藤真弁護士は「最高裁はこれまで衆参5回の国政選挙を『違憲状態』と言っている。その選挙で選ばれた国会議員が憲法改正の発議をすることは許されない」と指摘。違憲状態の選挙を速やかに是正すべきだと述べた。(千葉雄高)