新チーム初練習で、マウンド付近に集まって話をする大阪桐蔭の選手たち
仙台育英に九回逆転サヨナラで敗れ、春夏連覇の道が断たれた大阪桐蔭が、敗戦から一夜明けた20日、新チームの練習をスタートさせた。
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「甲子園に行けたのは3年生のおかげ。良いところを学べたのはチームとしてプラスです。ただ、自分たちはほかの大阪のチームよりもスタートが遅れていて、山積みの課題がある」。午後2時ごろに始まった練習。前日の試合で4番に座った根尾は言った。
捕手以外のポジションを全てこなせる根尾や1番中堅の藤原、3番一塁の中川、6番三塁の山田に、前日完投した柿木……。2年生には能力の高い選手が多く、「最強世代」の呼び声も高い。
しかし、中川は「まだ3年生の足元にも及ばない」と言う。
建前ではない。事実、4月に「2年」対「3年」で紅白戦を2試合やると、いずれも3年が大量点を奪って圧勝した。最速148キロの根尾らが登板しているにもかかわらず、だ。
3年生にあったのは「一体感」。チームとして全員が日本一という目標に向き、練習から日常生活まで一切妥協しない心の強さがあった。
前日に打者走者と接触し、右足を痛めた中川はこの日、ジャージー姿でベンチから練習を見守った。「外から見ると、声や動きがばらばらで、弱そう。今の2倍も3倍も声を出さないといけない」と感じた。
前夜は宿舎で主将の福井の部屋を訪れ、「ありがとうございました」と感謝の言葉を伝えた。そこで福井からこんなことを言われたという。
「しんどいこともあるけど、(リーダー的立場になる)お前が折れたらダメやからな」
主将候補は中川や根尾ら。この日の練習では、この2人がキャッチボールやシートノックの前に円陣の中心で話をした。
西谷監督は言う。「3年生は福井を中心にいいチームができた。こういうチームで勝ちたいと思えた。いかに良さを引き継いで、その上で2年生の強みを出していけるか。もっとたくましいチームになれるように」
新チーム最初の公式戦となる秋の大阪府大会は9月2日に開幕する。(山口史朗)